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月別アーカイブ: 2025年6月

第10回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

 

希工業、更新担当の中西です。

 

 

 

左官工事の未来について:伝統を継承しながら、進化する職人の世界

 

 

 

前回の記事では、左官工事を取り巻く「環境」について多角的にご紹介しました。


今回はその先にある「左官工事の未来」について、希望と課題を踏まえつつ展望していきます。


◆ 1. “仕上げのプロ”としての再評価

 

これまで左官工事は、「表に出ない職人技」として扱われることも少なくありませんでした。
しかし、近年の建築業界では**“仕上げの美しさ”や“手仕事の味わい”**が再び注目されつつあります。

  • 高級住宅・店舗での左官仕上げ(磨き壁・土間)

  • デザイン建築との融合(建築家との共同施工)

  • 独特の質感・陰影・手触りの再現性は左官ならでは

この動きは、**“左官=芸術と実用の融合”**という価値観を持つ時代への入口とも言えるでしょう。


◆ 2. デジタルとアナログの融合

 

未来の左官工事は、職人技 × テクノロジーの融合が大きな鍵になります。

  • AR/VRによる仕上がりシミュレーション(施主との打ち合わせがスムーズに)

  • デジタル図面×自動下地加工で精度と再現性UP

  • アシスト機器や自動撹拌システムの導入による省力化

AIやロボットにすべては置き換えられない左官の世界だからこそ、“人間にしかできない工程”を支えるテクノロジーの登場が、今後の未来像を大きく変えるでしょう。


◆ 3. サステナブル建築との親和性

 

今、建築業界は「脱炭素・環境配慮・自然素材」というキーワードで動いています。
ここで左官技術が再注目されている理由は、以下のような持続可能性にあります:

  • 漆喰・土壁などは「地産地消」「リサイクル性」が高い

  • 合成塗材に比べてCO₂排出量が低い

  • VOC排出が少なく、健康住宅としての価値も高い

さらに、今後は左官技術そのものが“環境建材の加工技術”として認識される可能性もあります。


◆ 4. 左官職の“新しいキャリア像”

 

これまでの左官職は、「修行して現場で覚える」のが基本でしたが、未来では多様なキャリアパスが考えられます。

  • 若手職人:現場経験+SNSや動画で技術発信するインフルエンサー型左官

  • ミドル世代:左官×デザイン×施工管理のマルチロール型技術者

  • ベテラン職人:伝統技術を教える“技能コーチ”や講師

これにより、**「一生職人で終わる」のではなく「育て、発信し、広げるプロ」**としてのキャリアが形成される時代が来ると考えられます。


◆ 5. 海外との交流・文化継承としての左官

 

日本の左官技術は、海外からも高い評価を受けており、

  • 和風建築の再現プロジェクト

  • 海外建築家とのコラボレーション

  • 国際技能コンテストへの出場

といった形で、今後さらに国境を越えて活躍する左官職人が増えていくと予測されます。

「技術は文化であり、文化は国境を越える」——左官こそその象徴ともいえるでしょう。


◆ まとめ

 

左官工事の未来は、決して後退ではなく進化の可能性に満ちた世界です。
伝統技術を守りつつ、新しい価値観や技術と融合していくことで、左官という仕事は“次世代に継ぐべき技術職”として再構築されていくでしょう。

未来を担う若者たちが、「左官ってかっこいい」と思える時代へ。
私たちはその扉を、いままさに開きかけているのかもしれません。

次回もお楽しみに!

 

 

 

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第9回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

 

希工業、更新担当の中西です。

 

 

 

左官工事の環境について:伝統技術と現場が直面する現実

 

 

 

左官とは、建築物の壁・床・天井などにモルタルや漆喰、土などを塗り仕上げる仕事です。
日本では古くから「家づくりに欠かせない職人技」として尊重されてきましたが、現代社会の構造変化や建設現場の在り方の変化により、左官工事を取り巻く**“環境”**は大きな転換期を迎えています。

今回は、左官工事の現場における“環境”というテーマを、「労働環境」「施工環境」「材料環境」「人材環境」などの多角的な視点から詳しく見ていきます。


◆ 1. 労働環境の変化と課題

 

かつて左官職人は、親方のもとで長い年月をかけて一人前になっていく“徒弟制度”の世界でした。
しかし現在では、人手不足や高齢化が深刻化し、若手のなり手が減少。多くの左官業者が労働力の確保に悩んでいます。

  • 厳しい夏場の外部作業や冬場の寒さ対策

  • 腰痛や膝への負担が大きい姿勢

  • 働き方改革による労働時間の制約

一方で、近年では養生マットや補助具の開発建設業向け作業服の進化などにより、少しずつ改善が進んでいる分野でもあります。


◆ 2. 現場施工環境の変化

 

昔の建築現場は、左官仕上げが主役でした。漆喰壁、土間コンクリート、洗い出し仕上げなど、左官の技術が建物の表情を決めていた時代です。

しかし近年では、以下のような要因で左官の出番が減っている現実があります。

  • ボード仕上げ・クロス貼り・プレキャスト材など、工場生産による“早く・安く・均一”の工法が主流に

  • 工期短縮とコストダウンを優先した建設手法の台頭

  • DIY建材や住宅の“工業化”が進行中

こうした背景により、左官工事は“必要なところにしか使われない”選択制に近づいているのが現状です。


◆ 3. 材料環境とエコ意識の高まり

 

一方、自然素材への関心の高まり健康志向の住宅づくりの中で、左官材料への注目も再び集まっています。

  • **漆喰(しっくい)や珪藻土(けいそうど)**による調湿・抗菌効果

  • 土壁・藁スサ入り塗材などの伝統的エコ素材

  • VOC(揮発性有機化合物)ゼロ塗材の開発と採用増加

これらの素材は、人と環境にやさしい左官材として、再評価され始めています。建材業界でもサステナブル建築の一環として、自然系左官材を提案する動きが広がっています。


◆ 4. 人材育成と技術の継承

 

左官工事の最大の環境課題は、「技術の継承」です。

  • 職人の高齢化(60代以上が半数を占める地域も)

  • 若手人材の不足、徒弟制度の解体

  • 技術を言語化・マニュアル化しにくい分野

 

こうした現状に対し、一部の企業や団体では以下の取り組みが進んでいます:

  • 左官学校・技能講習会の開催

  • YouTubeやSNSを活用した技術動画の発信

  • 若手職人向けの技能コンテスト

伝統とデジタルを融合させて、**「見て覚える」から「伝えて覚える」技術」**へと進化させる流れが生まれつつあります。


◆ まとめ

 

左官工事は、時代とともに変化を迫られている現場です。
しかし、自然素材の需要の高まりや、技術の価値見直しといったプラスの環境変化も同時に起きています。

環境が変わるということは、ピンチでありチャンス。
次回の記事では、この変化を踏まえたうえで、左官工事の**“未来”**について展望していきます。

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

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